
「夜中のトイレは、歳のせい」
「健診はオールAだから、安心」
その思い込みが、前立腺がんの発見を遅らせているかもしれません。
前立腺がんは、早い段階で見つかれば5年生存率がほぼ100%のがんです。それなのに日本では、毎年1万3千人以上の男性が前立腺がんで亡くなっています。その差を分けるのは、実はごく日常の「思い込み」です。
この記事では、所沢いそのクリニック院長で泌尿器科専門医の磯野が、診察室で感じてきた「進行してから見つかった方に多い3つの共通点」と、50歳を過ぎたら具体的に何をすればよいかを解説します。ご自分に当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。
【結論】前立腺がんを「治しきれる段階」で見つけるために
- 前立腺がんは早期なら5年生存率ほぼ100%。転移が見つかってからでは約60%まで下がります。
- 進行してから見つかる方には、①夜間頻尿を「老化」と自己判断、②PSAが入っていない健診を「オールA」と過信、③「恥ずかしい」と泌尿器科の受診を先延ばしという3つの共通点があります。
- 早期の前立腺がんにはほとんど症状がありません。症状が出る前に見つける手段は、採血1本でできるPSA検査です。
- 50歳を過ぎたら一度PSA検査を。ご家族に前立腺がんの方がいる場合は40代からがおすすめです。
前立腺がんは日本人男性で最も多いがん

前立腺がんは、いま日本の男性で最も多く診断されているがんです。
国立がん研究センターの統計では、次の数字が公表されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 新たに診断された数(2023年) | 102,094例(男性のがんで第1位) |
| 死亡数(2024年) | 13,670人 |
| 5年相対生存率(2018年診断例) | 95.7% |
※出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん登録・人口動態統計)
「治しきれる段階」で見つかるかどうかで生存率は大きく変わる
5年相対生存率95.7%は、がんの中でもとても高い数字です。ただし、見つかった時期によって大きな差があります。
| 見つかった段階 | 5年生存率の目安 |
|---|---|
| ステージ1〜3(前立腺の中や周囲にとどまっている) | ほぼ100% |
| ステージ4(リンパ節や骨などに転移がある) | 約60% |
※がん診療連携拠点病院等の院内がん登録の集計による目安です。
骨などに転移してから見つかると、手術や放射線で「治しきる」ことを目指すのは難しくなります。「治しきれるうちに見つける」ことの価値は、この数字の差にはっきり表れています。
この記事のタイトルでは「手遅れ」という強い言葉を使いましたが、転移が見つかってからでも治療法はあり、長く元気に過ごしている方もたくさんいます。詳しくは「前立腺がんステージ4でも元気に過ごせる理由 生存率データと治療の進歩」で解説しています。それでも、「治しきれる段階」を逃してしまうのは、やはりとても悔しいことです。
共通点① 夜間頻尿を「ただの老化」と自己判断してしまう

1つ目の共通点は、夜中のトイレを「歳のせい」と自分で片づけてしまうことです。
- 夜中に2回も3回もトイレに起きる
- 尿のキレが悪く、終わったと思ってもあとからポタポタ垂れてくる
こうした症状があっても、「もう歳だから仕方ない」「父親も同じだったし、こんなものだろう」と考える方は本当に多いのです。
夜間頻尿とは? 夜中に1回以上トイレに起きる状態
夜中に排尿のために1回以上起きることを、医学的に「夜間頻尿」といいます。特に2回以上になると、睡眠が途切れて昼間に眠くなったり、暗い中で転んでしまったりと、生活への影響が大きくなってきます。
ドラッグストアの頻尿の市販薬でしのいでいる方もいます。ただ、市販薬の多くは症状を和らげるためのもので、「なぜ頻尿になっているのか」という原因までは調べてくれません。
前立腺肥大症の陰に前立腺がんが隠れていることがある
前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下で尿道をぐるりと取り囲んでいます。この前立腺が大きくなって尿道を圧迫するのが「前立腺肥大症」です。50歳を過ぎると前立腺が大きくなり始める方が増え、尿の勢いが弱い、出し切れない感じが残る、夜中に何度もトイレに起きる、といった症状が出てきます。
前立腺肥大症が「がんに変わる」わけではありません。ただ、どちらも中高年の男性に多い病気なので、同じ時期に両方を抱えていることが珍しくないのです。実際に、夜間頻尿で受診された方を調べてみたら前立腺がんが見つかった、ということもあります。
早期の前立腺がんにはほとんど症状がない
前立腺がんは前立腺の外側の部分にできやすく、尿道から離れています。そのため初期のうちは、尿の症状として現れにくいのです。
つまり、夜中のトイレの原因が肥大症だったとしても、その陰で症状のないがんが静かに進んでいる可能性は否定できないということです。がんが進行すると、次のような症状が出てくることがあります。
- 尿が出にくくなる
- 尿に血が混じる
- 腰や背中の骨が痛む
ただし、こうした症状が出た時点で、すでにがんが前立腺の外に広がっていることも少なくありません。
「これは肥大症だろう」「ただの老化だろう」という判断は、症状だけでは医師でもできません。ご自分で見分けるのは、なおさら難しいのです。市販薬で少し楽になって安心し、そのまま何年も受診しないうちに、がんを早く見つけるチャンスを逃してしまうことがあります。
「前立腺がんは進行がゆっくりだから急がなくていい」は本当?
確かに、前立腺がんにはゆっくり進むタイプが多いのは事実です。ただし、中には進行の速いタイプもあります。そして、ご自分のがんがどちらのタイプなのかは、検査をしてみなければわかりません。
夜間頻尿の原因は前立腺だけではない
夜間頻尿の原因は、実にさまざまです。
- 水分のとりすぎ
- 過活動膀胱
- 心臓や腎臓の病気
- 糖尿病
- 睡眠時無呼吸症候群
- 前立腺肥大症・前立腺がん
原因が違えば、必要な対策もまったく変わります。原因をはっきりさせること自体に、大きな意味があるのです。夜間頻尿のタイプについては「夜間頻尿は「年のせい」ではありません 3つのタイプ別セルフチェックと対策」も参考にしてください。
受診前に「3日間の排尿メモ」をつけておくと診察に役立ちます
- トイレに行った時刻
- 1回に出た尿の量
- 飲んだ水分の量
すでに前立腺肥大症の薬を飲んでいる方も、安心はできません。ある薬を飲んでいると、がんを見つけるための検査の数値が低く出てしまうことがあるのです。これは次の共通点②で詳しくお話しします。
尿のトラブルは、体が発しているSOSかもしれません。「歳のせい」で終わらせずに、確かめるきっかけにしてください。
共通点② PSA検査が入っていない健康診断を「オールA」と過信してしまう

2つ目の共通点は、会社の健康診断への「過信」です。
「毎年、会社の健診でオールAだから自分は健康だ」「胃カメラも大腸の検査も受けているから、がんの心配はない」——診察室で本当によく耳にする言葉です。健康意識の高い方なのに、前立腺だけは一度も調べたことがない。そんなケースが実は少なくありません。前立腺がんが見つかった方から「毎年健診は受けていたのに…」という声を聞くことも、少なくないのです。
「オールA」は「調べた項目が正常」という意味にすぎない
がん検診は、がんの種類ごとに調べ方が違います。胃カメラや大腸の検査で、前立腺のことはわかりません。血圧や血糖が正常でも、前立腺の状態まではわかりません。毎年きちんと健診を受けていること自体は、本当に素晴らしいことです。ですが、ここに大きな落とし穴があります。
ここでひとつ質問です。ご自分の健診の結果票に「PSA」という項目があったかどうか、思い出せますか?「そんな項目、見たことがない」という方も多いのではないでしょうか。実はこれこそが、今日いちばんお伝えしたいポイントです。
PSA検査とは? 採血だけでわかる前立腺がんの腫瘍マーカー
PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺から血液中に出てくるたんぱく質の一種です。前立腺にがんなどの異常があると値が上がることがあるため、前立腺がんの「腫瘍マーカー」として使われています。少量の血液を採るだけで受けられる検査です。
早い段階の前立腺がんにはほとんど症状がないため、症状が出る前に見つけるにはPSA検査がとても大切です。PSA検査については「初期症状はある?前立腺がんの危険サインと、命を守る「PSA検査」の重要性」でも詳しく解説しています。
会社の健康診断にPSA検査は含まれていない
会社の健康診断は、法律で決められた項目(血圧・血糖・コレステロール・肝臓の数値など)が中心です。この中にPSA検査は入っていません。人間ドックでも、PSAはオプション扱いで、自分で申し込まないと受けられない施設が多いのです。
つまり、「健診はオールA」でも前立腺については何も調べていないということが十分にありえます。「健診で何も言われなかった」という安心感が、かえって発見を遅らせてしまう。これが2つ目の共通点の怖さです。
PSAの基準値は? 年齢階層別の目安
PSAの基準値は、一般的に4.0ng/mLが目安です。年齢に合わせて、より厳しめの基準を使う考え方もあります(日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン」)。
| 年齢 | PSA基準値の目安 |
|---|---|
| 50〜64歳 | 3.0ng/mL |
| 65〜69歳 | 3.5ng/mL |
| 70歳以上 | 4.0ng/mL |
値が高いからといって、必ずがんというわけではありません。前立腺肥大症や前立腺の炎症でも値は上がります。それでも、値の変化をきっかけに詳しく調べることで、症状が出る前に見つけられる可能性が高まります。PSAが高かった場合の流れは「PSAが高かったらどうなる?検査・治療の流れと「前立腺肥大症」との違い」をご覧ください。
PSA検査は何年ごとに受ける?
一度測っておくと、ご自分の基準となる値がわかり、その後の変化にも気づきやすくなります。その後は、結果に応じて1年から3年ごとに続けて測っていくことが大切です。
| PSAの値 | 次の検査の目安 |
|---|---|
| 1.0ng/mL以下 | 3年後 |
| 1.1ng/mL〜基準値 | 1年後(毎年) |
| 基準値を超える | 泌尿器科で精密検査 |
※日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン」の年齢階層別基準値に基づく目安です。
前立腺肥大症や薄毛の薬を飲んでいる人はPSAが低く出る
前立腺肥大症の薬の「デュタステリド」を飲み始めて半年ほどたつと、PSAの値は約半分に下がります。しかも、がんがあっても同じように下がります。
- この薬を飲んでいる方は、測った値を2倍にして判断するのが基本です。
- 薄毛の治療でフィナステリドやデュタステリドを飲んでいる方も同じです。
- PSAを測るときは、飲んでいる薬を必ず医師に伝えてください。
「数値が低いから安心」も、実は落とし穴になりうるのです。
「過剰診断」が心配な方へ 監視療法という選択肢
PSA検査には、一生困らないようなおとなしいがんまで見つけてしまう「過剰診断」の問題も指摘されています。ただ今は、見つかってもすぐに手術とは限りません。おとなしいタイプなら、治療をせずに定期的に様子を見る「監視療法」という選択肢もあります(前立腺がんの監視療法について詳しくはこちら)。早く見つかれば、手術や放射線治療など、治療の選択肢も広がります。
PSA検査は何歳から? どこで受けられる?
日本泌尿器科学会は、50歳以上の男性にPSA検査を受けることを勧めています。ご家族に前立腺がんになった方がいる場合は、40代から受けておくと安心です(前立腺がんと遺伝の関係)。
健診の案内が届いたら、「自分の健診にPSAが入っているか」を必ず確認してください。入っていなければ、オプションで追加するか、泌尿器科やかかりつけの先生に相談してみてください。お住まいの市町村によっては、住民向けの検診としてPSA検査を受けられるところもあります。
所沢市にお住まいの方へ
所沢市では、市独自の前立腺がん検診(PSA検査)を実施しています。令和8年度は、年度内に50・55・60・65・70・75・80歳になる男性が対象で、自己負担は1,000円です(個別検診・バス検診)。詳しくは所沢市ホームページ「令和8年度の検診について」をご確認ください。入間市・狭山市・東村山市・川越市など周辺の市にお住まいの方も、実施状況は自治体によって異なりますので、お住まいの市の案内をご確認ください。
また、当院の健康診断ではPSA検査をオプションで追加できます(当院の健康診断について)。
共通点③ 「泌尿器科は恥ずかしい」と受診を先延ばしにしてしまう

3つ目の共通点は、「泌尿器科は恥ずかしい」という思い込みです。これが、受診をためらう一番の理由かもしれません。
「泌尿器科に行ったら、いきなりお尻から指を入れられるのでは」——そう思っている方が、実は少なくありません。これは「直腸診」という、肛門から指を入れて前立腺の状態を直接確かめる検査です。この検査のイメージが先に立ち、「恥ずかしい」「痛そう」と感じて、症状が限界になるまで受診を避けてしまう方がいます。
尿が出にくくて、どうにも我慢できなくなってから、ようやく来院された方。ご家族に背中を押されて、やっと受診を決めた方。診察室では、そんな方にもたくさんお会いします。
待合室で何の検査かを知られることはありません
「待合室で知り合いに会ったら気まずい」という声も聞きます。でも泌尿器科には、頻尿、尿もれ、結石、血尿など、さまざまな悩みの方が来られています。周りからは、何の検査で来ているかはわかりません。泌尿器科で診る病気については「泌尿器科はどんな病気を診る科? 受診すべき症状をわかりやすく解説」もご覧ください。
当院の初診で行う主な検査 痛みのない検査から始めます
当院では、初診でいきなり痛い検査や恥ずかしい検査をすることは、まずありません。まずは、どんな症状が、いつからあるのかをじっくりお聞きするところから始めます。
| 検査 | 内容 | 体への負担 |
|---|---|---|
| 問診 | 症状や経過、飲んでいる薬、ご家族の病歴などをお聞きします | なし |
| 尿検査 | 紙コップに尿をとります | なし |
| PSA検査 | 少量の血液を採ります | 採血のみ |
| 超音波(エコー)検査 | お腹の上から機械を当て、前立腺の大きさや膀胱の状態を確認します。服を少しずらすだけで受けられます | 痛みなし |
| 尿流量検査 | 専用のトイレで普段どおりに排尿し、尿の勢いや量を調べます | 痛みなし |
| 残尿測定 | 排尿後にお腹へ超音波を当て、膀胱に尿が残っていないかを確かめます | 痛みなし |
尿の勢いや残尿の検査を行うことがあるため、受診の日は少し尿をためた状態で来ていただけるとスムーズです。
直腸診や生検は「必要な方に、同意をいただいてから」
直腸診は、こうした検査の結果などから必要と判断した場合に行います。その場合も、必ず事前に目的をご説明し、ご本人の同意をいただいてから行います。
PSAの値が高かった場合は、MRIで前立腺の中の様子を詳しく調べることがあります。MRIは磁気を使って体の断面を撮影する検査で、痛みはありません。その結果を見て、必要な方にだけ「生検」(前立腺に細い針を刺して組織を少し採り、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べる検査)をご提案します。いきなり体に負担のかかる検査から始めることはありません。生検が必要かどうかの考え方は「PSAが高いと言われたら? 前立腺針生検が必要な人・不要な人の分かれ道」で解説しています。
PSA検査に健康保険は使える?
| 受診のきっかけ | PSA検査の費用 |
|---|---|
| 尿の症状があり、医師が前立腺の病気を疑って必要と判断した場合 | 健康保険が使えます |
| 症状がなく、検診目的だけで測る場合 | 自費(自治体の検診や人間ドックのオプションを利用する方法もあります) |
受診するときに持ってきていただきたいもの
- 健診の結果票(過去のものもあれば)
- お薬手帳(前立腺肥大症や薄毛の薬は特に重要です)
- 3日間の排尿メモ(あれば)
それでも心配な方は、受診のときに「痛い検査や恥ずかしい検査があるなら、先に教えてほしい」と遠慮なく伝えてください。検査の結果はわかりやすくご説明しますので、気になることは何でも聞いてください。
私たち泌尿器科医は毎日、たくさんの方の尿や前立腺の悩みに向き合っています。あなたが「恥ずかしい」と感じることも、私たちにとってはごく日常の診療です。恥ずかしさを我慢している時間よりも、原因がわかって安心できることのほうが、ずっと大きいはずです。「採血だけでわかるなら、一度行ってみようかな」——そう思っていただけたら、それが早期発見への大きな一歩になります。
まとめ 50歳を過ぎたら、まず健診の結果票で「PSA」を確認

前立腺がんが進行してから見つかった男性に多い3つの共通点と、今日からできることを整理します。
| 共通点 | 今日からできること |
|---|---|
| ① 夜間頻尿を「老化」と自己判断 | 泌尿器科で原因を確かめる。受診前に3日間の排尿メモを |
| ② PSAのない健診を「オールA」と過信 | 結果票でPSAの有無を確認。なければオプション・自治体の検診・泌尿器科で |
| ③ 「恥ずかしい」と受診を先延ばし | 初診は問診・尿検査・採血・エコーから。直腸診は必要時に同意を得てから |
- 50歳を過ぎたら、まずは採血1本で済むPSA検査を一度受けてください。
- 結果に応じて、1年から3年ごとに続けて測っていくことが大切です。
- ご家族に前立腺がんの方がいる場合は、40代からがおすすめです。
- 前立腺肥大症や薄毛の薬を飲んでいる方は、PSAを測るときに必ず医師に伝えてください。
まずは今日、過去の健診の結果票を開いて、「PSA」という項目があるかどうか確認してみてください。この記事を、お父さんやご主人、ご兄弟など身近な男性にもぜひシェアしてください。大切な人の早期発見につながります。
この記事の内容は、YouTube「命をつなぐ予防医療チャンネル」でも動画で解説しています。
よくある質問

Q. 前立腺がんに初期症状はありますか?
A. 早期の前立腺がんには、ほとんど自覚症状がありません。がんは前立腺の外側にできやすく尿道から離れているため、初期には尿の症状として現れにくいのです。尿が出にくい、尿に血が混じる、腰や背中の骨が痛むといった症状が出たときには、がんが前立腺の外に広がっていることもあります。症状が出る前に見つけるにはPSA検査が有効です。
Q. 夜間頻尿があると前立腺がんの可能性がありますか?
A. 夜間頻尿の原因は、前立腺肥大症、過活動膀胱、水分のとりすぎ、睡眠時無呼吸症候群などさまざまで、夜間頻尿=前立腺がんというわけではありません。ただし、前立腺肥大症と前立腺がんはどちらも中高年の男性に多く、両方を抱えていることも珍しくありません。症状だけでは見分けられないため、50歳以上の方は一度泌尿器科で原因とPSAの値を確認しておくと安心です。
Q. PSA検査はどこで受けられますか?
A. 泌尿器科やかかりつけの医療機関、人間ドックのオプション、自治体の前立腺がん検診などで受けられます。会社の法定健診には通常含まれていません。所沢市では令和8年度、50歳から80歳までの5歳刻みの年齢になる男性を対象に、自己負担1,000円で前立腺がん検診(PSA検査)を実施しています。
Q. PSA検査は何年ごとに受ければいいですか?
A. 日本泌尿器科学会のガイドラインでは、PSAの値が1.0ng/mL以下なら3年後、1.1ng/mLから基準値までなら毎年の検査が目安とされています。基準値を超えた場合は、泌尿器科で精密検査を受けてください。
Q. 前立腺肥大症の薬を飲んでいてもPSA検査は意味がありますか?
A. 意味はありますが、注意が必要です。デュタステリドやフィナステリドを飲んでいると、服用開始から半年ほどでPSAの値が約半分に下がります。がんがあっても同じように下がるため、測った値を2倍にして判断するのが基本です。検査の際は、飲んでいる薬を必ず医師に伝えてください。
Q. 泌尿器科の初診で直腸診は必ずしますか?
A. いいえ。当院では、初診でいきなり直腸診を行うことはまずありません。問診のあと、尿検査、採血によるPSA検査、お腹の上からの超音波検査など、痛みのない検査から始めます。直腸診は、検査の結果などから必要と判断した場合に、目的をご説明し同意をいただいてから行います。
-
📖 新刊のお知らせ

夜中のトイレは、原因によって対策がまったく違います。夜間頻尿の原因の見分け方や排尿日誌のつけ方、今日からできる生活習慣の工夫については、新刊『薬に頼らず頻尿・尿もれを治す方法』(アチーブメント出版、2026年10月2日発売)でまとめています。日頃の外来では話しきれないような内容を一冊の本にまとめました。夜中のトイレが気になっている方は、ぜひ手に取ってみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4866431997/
こんな時は、一度泌尿器科にご相談ください
次のような方は、自己判断で様子を見ずに、一度泌尿器科にご相談ください。
- 夜中に2回以上トイレに起きる、尿の勢いが弱い・キレが悪い
- 尿に血が混じる、腰や背中の痛みが続く
- 50歳以上で、これまでPSA検査を受けたことがない
- ご家族に前立腺がんの方がいる
- 前立腺肥大症の薬を飲んでいるが、PSAを測ったことがない
採血1本のPSA検査が、前立腺がんを「治しきれる段階」で見つけるための第一歩です。

