前立腺がんロボット手術の入院から仕事復帰まで 尿道カテーテル・尿漏れの経過を日付順に解説

院長ブログ

「ロボット手術なら、翌日には元どおり」——そう思って手術に臨むと、術後に戸惑うかもしれません。尿の管はいつ抜けるのか。尿漏れはいつ落ち着くのか。仕事にはいつ戻れるのか。流れを先に知っておけば、慌てずに済みます。

前立腺がんは日本の男性に最も多いがんで、2021年には全国で約9万6千人が新たに診断されています。本記事では、前立腺がんのロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)を控えている方とそのご家族に向けて、手術の数週間前から入院、手術当日、尿道カテーテル抜去、退院、そして仕事復帰までを、日付順に泌尿器科専門医の視点で解説します。

なお、ここでお話しするのは一般的な流れです。細かな日程は施設によって異なるため、最終的には手術を受ける病院の予定表(クリニカルパス)を基準にしてください。

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  1. 前立腺がんのロボット手術とは?何を取る手術なのか
    1. 前立腺と精嚢を取り出し、膀胱と尿道をつなぎ直す手術
    2. 手術後は精液が出なくなります
    3. ロボットが自動で手術するわけではありません
    4. ロボット手術の利点と、誤解しやすい点
  2. 【一覧表】入院から仕事復帰までのスケジュール
  3. 手術の数週間前にやっておくこと
    1. 術前検査と、飲んでいる薬の確認
    2. 骨盤底筋体操を手術前から練習する
    3. 退院後の生活の準備と禁煙
    4. 手術前に主治医へ確認しておきたい3つのこと
  4. 入院前日の流れ
  5. 手術当日|目が覚めたとき、体には何が付いている?
  6. 術後1日目|手術の翌日から歩き始める理由
  7. 術後2〜5日|カテーテルの違和感と、すぐ伝えるべきサイン
  8. 尿道カテーテルはいつ抜ける?抜いた後の尿漏れは「失敗」ではありません
    1. カテーテル抜去の目安は術後4〜7日程度
    2. 抜去直後に尿漏れが起こる理由
    3. 尿漏れはどのくらいで治る?回復のよくある順番
    4. 尿漏れに落ち込む方へ、私がいつもお伝えしている言葉
    5. 尿漏れが長引く場合の治療
  9. 退院はいつ?退院時にできること・できないこと
    1. 退院後の尿漏れ対策|私が患者さんによく勧めている工夫
    2. 骨盤底筋体操のやり方
  10. 仕事復帰はいつから?仕事内容別の目安
    1. 復帰の時期を左右する要素
    2. 手術前に職場と相談しておきたいこと
  11. 退院後すぐ病院に連絡すべき4つの赤信号
  12. 術後外来で確認すること|退院がゴールではありません
    1. 病理結果(がんの広がりと性質)
    2. 術後のPSA|「0.2」が一つの目安
    3. 尿漏れ・性機能の回復
  13. まとめ|前立腺がんロボット手術で知っておきたい3つのポイント
  14. よくある質問
    1. Q. 前立腺がんのロボット手術の入院期間はどのくらいですか?
    2. Q. 尿道カテーテルはいつ抜けますか?
    3. Q. 手術後の尿漏れはいつ治りますか?
    4. Q. 仕事にはいつから復帰できますか?
    5. Q. 手術後のPSAはどのくらいなら安心ですか?
    6. Q. 手術後に子どもをもつことはできますか?
  15. 📖 新刊のお知らせ
  16. こんな時は、一度泌尿器科にご相談ください

前立腺がんのロボット手術とは?何を取る手術なのか

前立腺と精嚢を取り出し、膀胱と尿道をつなぎ直す手術

前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むようにある臓器です。ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)では、この前立腺と、その後ろ側にある精嚢(せいのう:精液の一部をつくる袋状の器官)をまとめて取り出します。

前立腺を取ると膀胱と尿道の間が空いてしまうため、この2つを縫い合わせてつなぎ直します。病状によっては、周りのリンパ節を取り除く「リンパ節郭清」も行います。

手術後は精液が出なくなります

手術前に知っておいてほしいこと
前立腺と精嚢を取るため、手術のあとは精液が出なくなり、自然な形で子どもをもつこともできなくなります。将来お子さんを望む方は、必ず手術の前に主治医へ相談してください。

ロボットが自動で手術するわけではありません

「ロボットが自動で手術するんでしょう?」と聞かれることがありますが、そうではありません。医師が3D画像を見ながらロボットアームを操作して手術を進めます。

日本では2012年に保険適用となり、今では多くの施設で行われています。対象になるのは主に転移のない前立腺がんで、年齢や全身の状態も含めて判断されます。

ロボット手術の利点と、誤解しやすい点

ロボット手術の利点は、傷が小さく、出血が少ない傾向にあることです。ただし、傷が小さいからといって簡単な手術というわけではありません。体の奥で臓器を取り出し、つなぎ直す手術です。回復の早さにも個人差があります。

【一覧表】入院から仕事復帰までのスケジュール

まずは全体の流れを表で確認しておきましょう。ご自身の手術日に重ねて見ると、今のうちにやっておくべきことがはっきりします。

時期 主な出来事 ご本人・ご家族がやること
手術の数週間前 術前検査・全身麻酔の評価・服薬確認 抗血栓薬の確認、骨盤底筋体操の練習、禁煙、パッドや送迎の準備
入院〜手術前日 看護師から手術当日までの流れの説明 食事・水分の指示を守る。不安なことはこの日のうちに質問
手術当日 全身麻酔で手術。点滴・尿道カテーテル・ドレーンが付く ベッドの上で体の状態を見守る
術後1日目 水分・食事の開始、歩行練習の開始 痛み止めを使いながら少しずつ歩く
術後2〜5日 食事量・歩行範囲の拡大、ドレーン抜去 異常があればすぐ医療者に伝える
術後4〜7日ごろ 尿道カテーテル抜去 パッドの枚数を記録し、骨盤底筋体操を始める
術後1週間〜10日前後 退院(2週間ほどかかることも) 重い物・お腹に力が入る運動を避ける
術後2週間〜3か月 仕事内容に応じて段階的に復帰 半日勤務や軽い業務から再開
術後の外来 病理結果・術後PSAの確認 PSAは同じ病院で継続して測定

※日程は一般的な目安です。実際の予定は手術を受ける病院の指示に従ってください。

手術の数週間前にやっておくこと

術前検査と、飲んでいる薬の確認

手術が決まると、数週間前から準備が始まります。術前検査を受けて、全身麻酔を安全に受けられるかも評価してもらいます。持病や飲んでいる薬の確認も欠かせません。

血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいる方へ
手術前に休むかどうかの判断が必要です。必ず主治医に伝えてください。ただし、自己判断でやめるのは危険です。休むかどうか、いつから休むかは、必ず医師の指示に従ってください。

骨盤底筋体操を手術前から練習する

骨盤底筋とは、膀胱や尿道を下から支え、尿を止める働きにも関わる筋肉のことです。術後の尿漏れに備えて、手術前から締め方を覚えておくことが勧められています。前もって練習しておけば、カテーテルを抜いたあと、正しい締め方ですぐに体操を始められます(やり方は後半で解説します)。

退院後の生活の準備と禁煙

  • 尿漏れパッドや、ゆったりした服を用意しておく
  • 退院の日の送迎や、家族の手助けを手配しておく
  • たばこを吸っている方は、肺の合併症を減らすためにも、手術が決まった時点で禁煙を始める

手術前に主治医へ確認しておきたい3つのこと

①勃起に関わる神経を残せるか(神経温存):術後の性機能に関わります
②リンパ節郭清を行うか:手術時間や術後の経過に関わります
③飲んでいる薬(特に抗血栓薬)を休むか、いつから休むか:自己判断での中止は危険です
あわせて、将来お子さんを望む方は、その希望も必ず手術前に伝えてください。

入院前日の流れ

入院すると、看護師から手術当日までの流れについて説明があります。食事や水分をいつまで取ってよいか、その指示は必ず守ってください。

  • 下剤や浣腸で腸の準備をするかどうかは、施設によって異なります
  • 足に血の塊ができるのを防ぐため、弾性ストッキングを使う施設も少なくありません
  • ロボット手術は頭を低くした姿勢で行うため、施設によっては緑内障など目の状態を事前に調べることがあります
  • 手術の予定時間や、リンパ節郭清をするかどうかも、この日に改めて確認しておきましょう

不安なことがあれば遠慮せず、この日のうちに看護師や医師に聞いてください。

手術当日|目が覚めたとき、体には何が付いている?

手術は全身麻酔で行うので、眠っている間に終わります。お腹には1センチ前後の小さな傷が5〜6か所でき、前立腺を体の外に取り出すため、そのうち1か所は数センチほど広げます。手術時間は、病状やリンパ節郭清の有無によって変わります。

麻酔から目が覚めたとき、体には次のような管が付いています。

付いているもの 役割
点滴 腕から水分や薬を入れる
尿道カテーテル 尿道から膀胱まで通して、尿を外に流し出す細い管
ドレーン(入っている場合) お腹の中にたまる血液や液体を外に出す管

「目が覚めたら管がたくさん付いていて驚いた」という方は少なくありません。知っておくだけでも、気持ちはずいぶん違います。

また、お腹を炭酸ガスでふくらませて手術をするため、術後に肩のあたりが痛むことがあります。多くは数日でおさまっていきます。当日はベッドの上で、体の状態をしっかり見守っていきます。

術後1日目|手術の翌日から歩き始める理由

術後1日目、状態がよければ水分や食事を取り始めます。吐き気がないかを確かめながら、少量から進めます。そして、看護師の手を借りながらベッドから起きて、歩く練習を始めます。

「手術の翌日に歩くなんて無理」と思われる方も多いでしょう。でも、早く歩くことには大切な理由があります。

早く歩くことで防げること
・足の静脈に血の塊ができる「血栓」
・肺の合併症
・腸の動きが悪くなること

痛みを我慢して動く必要はありません。痛み止めを使いながら、少しずつ体を起こしていけば十分です。最初は病棟の廊下を少し歩くところから始めて、日ごとに距離を延ばしていきます。

尿道カテーテルが入っていても、尿をためる袋を持って歩くことができます。管が入っている間も、ずっとベッドで安静というわけではありません。

術後2〜5日|カテーテルの違和感と、すぐ伝えるべきサイン

術後2日目から5日目にかけては、食事の量や歩く範囲を少しずつ広げていきます。傷の状態や熱、尿の色なども毎日チェックします。ドレーンが入っている場合は、出てくる液体の量が減ってきたところで抜きます。

この時期は尿に少し血が混じることがありますが、多くは経過とともに落ち着いていきます。カテーテルの違和感や、膀胱がギュッと縮むような感覚が出たり、管の脇から尿が漏れたりすることもあります。

「尿の管って、ずっと痛いんですか?」と心配される方も多いのですが、多くの場合、痛みというより違和感に近いものです。その違和感も、カテーテルを抜けばたいていおさまります。

次のようなときは、我慢せずすぐに医療者に伝えてください
・管から尿が流れてこない
・下腹部が強く痛む
・熱が出てきた
我慢せずに伝えることが、合併症の早期発見につながります。

尿道カテーテルはいつ抜ける?抜いた後の尿漏れは「失敗」ではありません

カテーテル抜去の目安は術後4〜7日程度

尿道カテーテルは、膀胱と尿道のつなぎ目がしっかりくっつくまで入れておきます。国内では、術後4日から7日程度が一つの目安です。病院によっては、造影剤を使った検査でつなぎ目から漏れがないかを確かめます。漏れが見つかった場合は、カテーテルを入れておく期間が延びます。

抜去直後に尿漏れが起こる理由

ここが今回一番お伝えしたいことです。カテーテルを抜いた直後は、多くの方に尿漏れが起こります。「手術が失敗したから漏れているんじゃないか」と不安になる方がとても多いのですが、そうではありません。

尿を止める仕組みには、尿道括約筋(尿道を締めて尿を止めている筋肉)が大きく関わっています。前立腺を取ると、尿を止める仕組みの一部が失われます。そのため、残った括約筋が働きを取り戻すまでは、尿が漏れやすくなるのです。つまりこれは、術後早期に想定されている経過です。

咳やくしゃみ、立ち上がる瞬間に漏れやすいのもこの時期の特徴です。回復の目安になるのは、1日に使うパッドの枚数がどう減っていくかです。

尿漏れはどのくらいで治る?回復のよくある順番

回復のスピードには個人差がありますが、多くの方は数か月から1年ほどかけて、少しずつ改善していくと報告されています。退院から1か月ほどで、パッドが1日1〜2枚まで減る方も少なくありません。回復には、よくある順番があります。

  1. 横になっている夜間から落ち着いてくる
  2. 次に、座っている時間の漏れが減ってくる
  3. 最後まで残りやすいのが、咳やくしゃみ、立ち上がる瞬間の漏れ

尿漏れに落ち込む方へ、私がいつもお伝えしている言葉

「今の尿漏れは、失敗のサインではなく、回復の途中にいるサインですよ」
比べる相手は、ほかの患者さんではなく、1週間前のご自身です。パッドの枚数を毎日メモしておくと、少しずつ減っていくのが目に見えてわかります。

尿漏れが長引く場合の治療

回復がゆっくりな方もいます。大切なのは、一人で抱え込まないことです。半年、1年と経っても改善が乏しいときは、人工尿道括約筋を埋め込む手術などの治療法もあります。次の治療を、主治医と一緒に考えましょう。

退院はいつ?退院時にできること・できないこと

国内の入院期間は、1週間から10日前後が一つの目安とされています。ただし、施設や術式、術後の経過によって幅があり、2週間ほどかかることもあります。

区分 内容
退院時点でできること 歩くこと、階段の上り下り、身の回りの軽い日常生活
しばらく避けること 重い物を持つこと、お腹に強い力が入る運動、便秘やトイレで強くいきむこと(膀胱と尿道のつなぎ目や、傷の奥に負担がかかるため)
病院の指示を確認すること 運転、入浴、自転車、飲酒、性行為の再開時期(入浴は、傷が落ち着くまでシャワーのみと指示されることもあります)

迷ったときは、必ず手術を受けた病院の指示を優先してください。

退院後の尿漏れ対策|私が患者さんによく勧めている工夫

  • パッドは男性用を選ぶ:男性の体の形に合わせて、前側でしっかり吸収できるようになっています。漏れる量に合わせて吸収量の違うものを使い分けると、外出もしやすくなります
  • 下着はブリーフにする:トランクスより体にぴったりしたブリーフの方が、パッドがずれにくく、漏れにくくなります
  • 外出用のポーチを用意する:替えのパッドと下着、ウェットティッシュを小さなポーチに入れておくと、いざというときも安心です
  • 水分は減らしすぎない:尿漏れが怖くて水分を控えると、尿が濃くなって膀胱を刺激してしまいます。そのかわり、夕方以降のコーヒーやお酒は控えめにしましょう

骨盤底筋体操のやり方

基本のやり方
①おならを我慢するように、肛門をキュッと締める
②そのまま5秒ほど保ち、ゆっくり緩める
③これを10回で1セット。寝た姿勢・座った姿勢・立った姿勢で、1日に何セットか行う
ポイント:息を止めない。お腹やお尻に力を入れすぎない
応用:慣れてきたら、咳やくしゃみ、立ち上がる直前にキュッと締めるクセをつける

咳やくしゃみの直前に締めるクセをつけるだけでも、漏れ方が変わってくることがあります。骨盤底筋体操は、カテーテルを抜いたあと、病院から指示された時期から本格的に始めていきましょう。

仕事復帰はいつから?仕事内容別の目安

「先生、いつから仕事に戻れますか?」——これは、手術前の患者さんから一番多く聞かれる質問の一つです。最初にお伝えしたいのは、「退院できる」ことと「フルタイムで働ける」ことは別だということです。

私がふだん患者さんにお伝えしている、仕事内容別の復帰の目安は次のとおりです。

仕事の内容 復帰の目安(手術から)
デスクワーク 2〜4週間ほど
立ち仕事・移動の多い仕事 4〜6週間ほど
重い物を持つ仕事・力仕事 2〜3か月ほど
運転を伴う仕事 主治医から運転の許可が出てから

※あくまで目安です。最終的には主治医の指示に従ってください。

復帰の時期を左右する要素

同じ仕事でも、術後の経過、尿漏れの量、通勤時間、合併症の有無、主治医からの運動制限によって、復帰の時期は変わります。たとえばデスクワークでも、尿漏れが多い時期に満員電車で長時間通勤するとなると、それだけで大きな負担です。だからこそ、一律の日数では決められません。

復帰してみると、疲れやすさや尿漏れが思った以上に残っていることがあります。いきなりフルタイムに戻るより、半日勤務や軽い業務から少しずつ戻していくのがおすすめです。

手術前に職場と相談しておきたいこと

  • パッドを交換できる時間や場所があるか
  • 退院後しばらく、時短勤務にできるか
  • 重い作業を避けられるか

手術前のうちに職場と相談しておくと、復帰がスムーズになります。

退院後すぐ病院に連絡すべき4つの赤信号

次の症状が出たら、様子を見ずに手術を受けた病院へ連絡してください
①高い熱、傷の腫れ、強い痛み:傷の感染などが起きているサインかもしれません
②尿が出ない、血尿や血の塊が増えてきた:つなぎ目のトラブルや、膀胱に血の塊がたまっている可能性があります
③片方の脚だけの腫れや痛み、息苦しさや胸の痛み:脚の静脈に血の塊ができる深部静脈血栓症や、その血の塊が肺の血管に詰まる肺塞栓症の可能性があります。肺塞栓症は命に関わることがあるため、息苦しさが強いときは迷わず救急車を呼んでください
④水分が取れない、お腹が強く痛む:脱水や、腸の動きの異常が隠れていることがあります

「夜だから明日まで待とう」と考えずに、すぐに連絡してください。病院の連絡先は退院前に確認して、ご家族とも共有しておきましょう。

術後外来で確認すること|退院がゴールではありません

病理結果(がんの広がりと性質)

病理結果とは、取り出した組織を顕微鏡で調べて、がんの広がりや性質を確かめた結果のことです。取り出した組織の切り口にがん細胞が及んでいないか、リンパ節に転移がないか、そして最終的な病期を確認します。

術後のPSA|「0.2」が一つの目安

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺の状態を映す血液検査の数値です。前立腺をすべて取り出すとPSAをつくる組織がなくなるので、PSAはほとんどゼロになります。多くの場合、手術から1〜2か月ほどで「測れないほど低い値」まで下がります。

検査結果の表記・数値 意味
「0.01未満」「0.1未満」など 測れないほど低い値。病院によって測定方法が違うため、同じ病院で測り続けることが大切
0.2以上(再検査でも0.2以上) 「PSA再発」と考えるのが一般的

手術後しばらくは、数か月ごとに測っていきます。ただし、PSA再発がわかっても、すぐに命に関わるわけではありません。早めに見つかれば、放射線治療などで治療を続けられることが多いのです。一度の数値で一喜一憂せず、上がり方の傾向を主治医と一緒に見ていきましょう。

尿漏れ・性機能の回復

さらに、尿漏れの回復具合や性機能、神経温存の結果もみていきます。性機能の回復にも、尿漏れと同じように時間がかかる場合が少なくありません。そのうえで、追加の治療が必要かどうかを判断していきます。病理結果とPSAの確認までが、治療判断の一区切りです。

まとめ|前立腺がんロボット手術で知っておきたい3つのポイント

①術後1日目から、無理のない範囲で歩き始めること
②カテーテルを抜いた直後の尿漏れは、想定された経過だということ
③退院と仕事復帰は別だということ

ロボット手術には利点がありますが、回復の早さには個人差があります。手術が決まったら、病院の予定表と主治医の指示を基準に、ご家族や職場と一緒に準備を始めてみてください。

よくある質問

Q. 前立腺がんのロボット手術の入院期間はどのくらいですか?

A. 国内では1週間から10日前後が一つの目安です。施設や術式、術後の経過によって幅があり、2週間ほどかかることもあります。

Q. 尿道カテーテルはいつ抜けますか?

A. 膀胱と尿道のつなぎ目がくっつくまで入れておき、国内では術後4〜7日程度が一つの目安です。造影検査でつなぎ目からの漏れが見つかった場合は、入れておく期間が延びます。

Q. 手術後の尿漏れはいつ治りますか?

A. 個人差がありますが、多くの方は数か月から1年ほどかけて少しずつ改善していきます。夜間、座っている時間、咳やくしゃみ・立ち上がる瞬間の順に落ち着くことが多く、半年〜1年経っても改善が乏しい場合は、人工尿道括約筋などの治療を主治医と検討します。

Q. 仕事にはいつから復帰できますか?

A. 目安として、デスクワークは手術から2〜4週間、立ち仕事や移動の多い仕事は4〜6週間、力仕事は2〜3か月ほどです。運転を伴う仕事は、主治医から運転の許可が出てからにしてください。半日勤務や軽い業務から段階的に戻すのがおすすめです。

Q. 手術後のPSAはどのくらいなら安心ですか?

A. 前立腺をすべて取り出すと、多くの場合1〜2か月ほどで「測れないほど低い値」まで下がります。0.2以上に上がり、再検査でも0.2以上なら「PSA再発」と考えるのが一般的です。測定方法が病院ごとに違うため、同じ病院で継続して測ることが大切です。

Q. 手術後に子どもをもつことはできますか?

A. 前立腺と精嚢を取るため、手術後は精液が出なくなり、自然な形で子どもをもつことはできなくなります。将来お子さんを望む方は、必ず手術前に主治医へ相談してください。

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この記事を書いた人
院長 磯野誠

 
略歴
・防衛医科大学校卒業 医師免許取得
・研修医(防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院)
・陸上自衛隊武山駐屯地医務室(神奈川県横須賀市)で総合診療に従事
・専修医(防衛医科大学校病院)で泌尿器科診療に従事
・陸上自衛隊善通寺駐屯地医務室(香川県善通寺市)で総合診療に従事
・防衛医科大学校医学研究科
・デュッセルドルフ大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)で泌尿器科がんの研究に従事
・陸上自衛隊第11旅団司令部(北海道札幌市)医務官
・恵佑会札幌病院泌尿器科、札幌医科大学病理学第一講座で泌尿器科がんの診療・研究に従事
・我孫子東邦病院泌尿器科で女性泌尿器科・前立腺肥大症・尿路結石の診療に従事
・所沢いそのクリニック開院

資格・所属学会
・医学博士
・日本泌尿器科学会 専門医・指導医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター(手術指導医;前立腺・膀胱、仙骨膣固定術)
・日本内視鏡外科学会 技術認定医
・日本透析医学会
・日本生殖医学会
・日本メンズヘルス医学会 テストステロン治療認定医
・膀胱壁内注入療法 講習・実技セミナー(過活動膀胱・神経因性膀胱)修了
・がん診療に携わる医師に対する緩和ケア講習修了
・臨床研修指導医

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