Symptom
症状(泌尿器科)
症状(泌尿器科)
尿の勢いが弱い
尿が出にくい…それ、放置していませんか?
「尿の勢いが弱くなった」「出始めに時間がかかる」「残尿感がある」など、排尿に関する悩みは加齢によって生じることが多く、周囲にも相談しづらいため、「仕方ない」と放置してしまう方が少なくありません。しかし、こうした症状(排尿困難と呼ばれます)の背景には、前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄、神経因性膀胱、前立腺炎などの病気が潜んでいる可能性があります。
排尿はどうやって行われるのか
身体の老廃物は腎臓で血液からろ過され、尿として作られます。作られた尿は尿管を通って膀胱にたまり、十分にたまると脳が「トイレに行く必要がある」と認識されます。その後、脳が「排尿してよい」と判断すれば、膀胱が収縮して尿道を開き、尿が勢いよく排出される――これが一般的な排尿の流れです。
しかし、膀胱や尿道、またはそれらをコントロールする神経系のどこかに問題が生じると、「思うように尿が出ない」「出したくても時間がかかる」といった不快な症状が出てきます。特に男性では、尿道を取り囲む前立腺が大きくなると尿道が狭くなり、排尿障害を引き起こしやすくなります。
尿が出にくくなる要因
排尿困難が起きる主な原因は、大きく「尿道が狭くなる」か「膀胱と尿道の連携が崩れる」の2つに分類できます。それぞれの代表的な病気を下記で紹介します。
前立腺肥大症
特徴
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中高年男性に多く見られる
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前立腺が大きくなり、尿道を圧迫する
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尿の勢いが低下、残尿感、頻尿などを伴いやすい
前立腺は男性特有の器官で、尿道の周囲をドーナツ状に取り巻いています。加齢に伴い前立腺の細胞が増殖すると、その通り道である尿道を狭くしてしまうため、尿が勢いよく出にくくなります。夜間頻尿や途中で尿が途切れるなど、生活の質に直結する症状が現れやすいのも特徴です。
前立腺がん
特徴
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初期症状がほとんどなく、徐々に進行するがん
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前立腺が肥大することにより、排尿障害を引き起こす
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PSA検査で早期発見が期待できる
前立腺がんは、日本でも患者数が増加傾向にあるがんの一種です。進行がゆるやかであることが多く、はじめは目立った症状が出ない場合も。前立腺肥大症と似たような排尿困難を起こすことがあり、年齢とともにリスクが高くなるため、定期的な検査が推奨されます。
尿道狭窄
特徴
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外傷や手術、感染症などによる傷が原因で尿道が物理的に細くなる
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カテーテル挿入や経尿道的な内視鏡手術後の後遺症が多い
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尿が細く長く出る、尿が断続的になることがある
尿道に何らかの損傷が生じると、そこが瘢痕化して管径が狭くなります。その結果、通常の太さの尿道に比べて尿の流れが滞りやすくなり、スムーズな排尿が難しくなります。また、性感染症による尿道炎が完治しきらず、組織が厚くなることでも起こり得ます。
神経因性膀胱
特徴
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脳や脊髄など、排尿に関わる神経の経路に異常が生じる
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膀胱が尿をためていることを自覚できなかったり、排出の指令が伝わらなかったりする
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糖尿病や脳卒中、パーキンソン病、脊椎の損傷などが原因になることも
排尿は神経のネットワークを介してコントロールされていますが、神経因性膀胱ではこのネットワークがうまく働かず、尿をうまくためたり出したりできなくなります。排尿困難だけでなく、尿が漏れてしまう失禁など、さまざまな排尿障害を生じることがあります。
急性前立腺炎・慢性前立腺炎
特徴
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急性前立腺炎は主に細菌感染により、急激な発熱や排尿困難、排尿時の痛みが起きる
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慢性前立腺炎は原因不明のケースも多く、不快感や下腹部痛などが長引く
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いずれも前立腺の炎症によって尿道が圧迫される
急性前立腺炎は急な高熱や強い痛みを伴うため、自覚症状が比較的はっきりしています。慢性前立腺炎は症状が緩やかに続くため、「少し違和感がある」程度で放置されがち。いずれにしても治療を怠ると悪化の可能性があるため、早めの受診が大切です。
こんな症状があれば要注意
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尿の出始めが遅い、勢いが弱い
以前は勢いよく出ていた尿が、だんだん弱くなっていませんか? 出るまでに時間がかかるのもサインです。 -
残尿感がある
「出し切れない」「スッキリしない」という感覚は、膀胱内に尿が残っている恐れがあります。 -
夜間に何度も起きる
就寝中にトイレへ行く回数が増え、熟睡できない場合は要チェックです。 -
痛みや熱を伴う
排尿時に強い痛みや不快感、さらに発熱などを伴う場合は急性の炎症を疑う必要があります。
こうした症状が続く場合、泌尿器科の受診を検討しましょう。
検査・診察の流れ
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問診
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いつから、どのような症状があるか
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日中・夜間のトイレの回数、排尿時の痛みや熱感の有無
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既往症や服用薬など
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身体診察・触診
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必要に応じて前立腺を触診する場合があります(直腸診など)
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腹部を触って膀胱のはり具合を確認することも
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尿検査
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細菌や炎症の有無、血尿のチェック
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ほかの疾患の兆候がないかも確認
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血液検査(PSA検査など)
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前立腺がんの可能性を調べる
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体内の炎症や感染症の程度を把握
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超音波検査(エコー)
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前立腺の大きさや形状を把握
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残尿量の測定
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腎臓や膀胱の状態も確認可能
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尿流測定(ウロフローメトリー)
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実際に排尿したときの尿の勢いやパターンを客観的にデータ化
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症状によっては内視鏡検査、CT、MRIなどを追加する場合もあります。
主な治療法
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薬物療法
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α1ブロッカーなど、尿道や前立腺の筋肉をゆるめて尿を通りやすくする薬
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前立腺炎の場合は抗生物質や消炎鎮痛薬などを使用
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生活習慣の見直し
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適度な水分補給:過度な水分不足やアルコール・カフェインの摂取に注意
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規則正しい生活リズムと、軽めの運動を取り入れて血行を改善
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手術療法
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前立腺肥大症が進行している場合は経尿道的前立腺切除術(TURP)など
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尿道狭窄に対しては狭くなった部分を切開する内視鏡手術
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前立腺がんではがんの進行度に応じて手術や放射線治療を検討
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カテーテル管理・自己導尿
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神経因性膀胱など、自力で十分な排尿ができない場合
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感染予防を徹底しながらカテーテルを使用
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放っておくと何が起こる?
排尿困難を放置すると、以下のリスクが高まります。
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感染症を起こしやすくなる
残尿が増えると、膀胱内に細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎や腎盂腎炎などを引き起こしやすくなります。 -
腎機能への影響
膀胱内に尿が停滞し続けると尿管や腎臓に負担がかかり、腎不全へ至る恐れも。 -
生活の質が低下
夜間頻尿などで睡眠不足が続き、日中の活動に支障が出るほか、外出をためらうようになるなど心理面での負担も大きくなります。
早めの受診がカギ
「歳のせいだろう」と軽視しがちな排尿困難ですが、実際には治療で改善が期待できるケースが多々あります。たとえば前立腺肥大症なら、薬で尿道や前立腺付近の筋肉をゆるめるだけでも症状が軽減する人が少なくありません。さらに、万が一前立腺がんやほかの重篤な病気が見つかった場合も、早い段階で適切な治療を開始すれば予後が良好になる可能性が高まります。
以下のようなタイミングで受診を検討してください。
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最近、尿の勢いが大きく落ちたと感じる
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排尿の終わりが悪く、切れが悪いと感じる
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夜中に複数回トイレへ行くせいで寝不足気味
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排尿時に痛みや発熱などの症状が出てきた
まとめ
尿が出にくい症状(排尿困難)には、加齢に伴う前立腺肥大症だけでなく、前立腺がんや尿道狭窄、神経因性膀胱、前立腺炎など、多彩な原因が潜んでいる可能性があります。こうした症状を無視すると、感染症や腎機能の低下、生活の質の大きな低下を招く恐れがあるため、「ちょっと出にくいだけ」と放置せず、早めに専門家の診察を受けることが大切です。
泌尿器科では、問診や血液検査(PSA検査含む)、尿検査、エコー、尿流測定などを行い、原因を正確に突き止めます。そのうえで、薬物療法・生活習慣の改善・手術療法など、患者さんの状態に合わせた治療法を選択可能です。
もし「尿を出すのに時間がかかる」「夜中に何度もトイレへ行ってしまう」など、排尿にまつわる不安や悩みを抱えている方は、ぜひお早めにご相談ください。適切なケアを受けることで、スムーズな排尿と健康的な毎日を取り戻す第一歩につながるでしょう。
検査等にかかる費用について
初診の方の診療費用はお薬代を除き、およそ下記のようになります(3割負担の場合)。
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
膀胱鏡 | 4000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
当院ではプライバシーの配慮を徹底しており、全ての患者様を番号でお呼びしております。
ご予約はこちらからも承ります。
文責:院長 磯野誠
所沢いそのクリニック 内科・泌尿器科・女性泌尿器科
埼玉県所沢市東所沢2-24-8
04-2951-2200
※当院は、所沢市内および近隣の市町村(ふじみ野市、富士見市、三芳町、新座市、朝霞市、和光市、狭山市、入間市、日高市、飯能市、東京都清瀬市、東京都東村山市、東京都小平市、東京都国分寺市)からの患者様にも多くご利用いただいております。