Symptom
症状(泌尿器科)
症状(泌尿器科)
脇腹の急な激痛
脇腹の急な激痛とは
脇腹に突然、強烈な痛みを感じると、「何か重大な病気ではないか」と不安になられる方は多いと思います。脇腹に限らず、「腹痛」とひと口に言っても、その原因は実に多岐にわたります。消化器系(胃や腸、胆嚢、膵臓など)だけでなく、腎臓や尿管、膀胱といった泌尿器系、骨や筋肉、腱などの整形外科的な問題、あるいは女性特有の婦人科系の疾患など、さまざまな臓器や器官が関係する可能性があります。
脇腹の激痛を引き起こす主な原因
1. 泌尿器科系(尿管結石・腎臓のトラブルなど)
脇腹に起こる強い痛みで、まず疑われやすいのが尿管結石です。尿管結石は「痛みの王様」と呼ばれるほどの激痛を伴うことで有名です。結石が尿管を塞いでしまうと、腎臓から出る尿がスムーズに流れずに圧力がかかり、耐えがたいほどの強い痛みを感じます。痛みは片側(右側または左側)の腰や脇腹にかけて出現することが多く、体勢を変えてもあまり和らがないという特徴があります。
さらに、血尿(尿が赤くなる)や頻尿、吐き気などを伴う場合もあります。発作的に激痛が起こり、少し治まるときと、また激痛がくるときがあるという波のある痛み方をすることも少なくありません。
・尿管結石の検査・治療
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尿検査:尿中に赤血球や白血球が増えているかどうか確認します。
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レントゲン:大きな結石であれば画像に写る場合があります。
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超音波検査:腎臓や尿管の状態を、放射線を使わずに比較的容易に観察できます。
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CT検査:レントゲンや超音波では写りづらい小さな結石の発見に役立ちます。
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治療:結石の位置や大きさによっては、自然排石を目指す薬物療法、衝撃波による結石破砕、内視鏡下での除去などが行われます。
2. 消化器系(胆石や膵炎など)
脇腹に近い部分にある消化器系の臓器としては、胆嚢や膵臓があります。右脇腹の痛みの場合、胆石や胆嚢炎などが疑われます。典型的には、脂っこい食事をしたあとなどに激痛が走り、吐き気や発熱を伴うことがあります。放置すると重症化するおそれがあるため、「いつもの腹痛」と自己判断せず、医療機関を受診することが大切です。
また、左脇腹から背中にかけて痛みがある場合は、膵臓の炎症(急性膵炎や慢性膵炎)が原因として挙げられます。特に急性膵炎は激痛を伴い、重症化すると入院治療が必要になるケースもあります。お酒をよく飲む人や、高脂質の食事を好む人は注意が必要です。
3. 整形外科的な痛み(筋肉や骨、腱のトラブル)
激しい運動をした翌日に脇腹が痛くなった場合は、筋肉痛や筋膜の炎症など、整形外科的な原因も考えられます。この場合、体を捻ったり起き上がったりするときに痛みが強まるのが特徴です。ただし、痛みが長く続いたり、安静にしていても引かないようであれば、内臓系疾患の可能性を除外する必要があります。自己判断で「ただの筋肉痛」と決めつけず、必要に応じて医療機関を受診することが重要です。
4. 婦人科系(卵巣や子宮の病気)
女性特有の腹痛要因として、卵巣や子宮のトラブルが挙げられます。卵巣の捻転(ねじれ)や感染症、子宮筋腫の急性症状などで、下腹部を中心に痛みが広がり、ときに脇腹付近にも激痛を感じるケースがあります。突然の激痛があった場合は、婦人科を受診し、速やかに検査を受けることが大切です。
5. 大動脈の異常(大動脈瘤や破裂など)
お腹の中央付近を走る大動脈にコブができたり(大動脈瘤)、破裂しかけたりすると、みぞおちから下腹部にかけて強い痛みを感じることがあります。脇腹付近に痛みを放散することもあり、命に直結する状態となる場合があります。超音波検査などで早期発見が可能なため、痛みの原因がはっきりせず強い症状が続く場合には、検査を申し出ると良いでしょう。
腹痛(脇腹痛)に対して行われる主な検査
脇腹の痛みをはじめ、原因不明の腹痛の際には、様々な検査を組み合わせて行い、段階的に病気を絞り込みます。ここでは代表的な検査を紹介します。
1. 血液検査
採血では、炎症反応(CRPなど)が上昇していないか、白血球数が増加していないか、肝機能や腎機能に異常がないかなどを確認します。尿管結石の場合、腎機能の数値が悪化していないかを見ることがあり、胆石や胆嚢炎が疑われるときには肝機能の値も要チェックです。激しい腹痛の場合は、大半が血液検査で何らかの指標に異常が出ることが多いため、病気の早期発見にもつながります。
2. 尿検査
尿管結石を疑うときには、尿中に血液(赤血球)が混じっていないかを確認します。結石が尿管を傷つけることで血尿が発生します。また、膀胱炎などの感染症では白血球が増えていたり、菌が検出されたりすることもあります。脇腹痛の背景に泌尿器系の病気があるかどうかを見極めるうえで、尿検査は非常に重要です。
3. レントゲン検査
腹部レントゲン検査では、腸内に過度なガスや便がたまっていないか、あるいは尿管結石の影がないかなどを確認できます。被曝量も少なく、短時間で簡単に撮影できるため、腹痛の初期診断としてよく行われる検査です。ただし、結石の種類によってはレントゲンに映らない場合もあるので、さらに詳しい検査が必要となることもあります。
4. 超音波検査(エコー検査)
超音波検査は、放射線被曝がなく体への負担が少ない検査方法です。腹部にゼリーを塗り、探触子(プローブ)を当ててリアルタイムに内臓の状態を観察します。大動脈の瘤、腎臓の腫れ、尿管結石の有無、胆石や胆嚢炎などを確認できます。また、医師や検査技師の経験が豊富であれば、虫垂炎(いわゆる盲腸)などの診断を補うことも可能です。
5. 胃カメラ(上部消化管内視鏡)
胃や十二指腸が原因となっている腹痛の場合には、胃カメラ検査が有効です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃アニサキス症、胃がんなどは、直接内視鏡を入れて粘膜を観察しなければ正確な診断が難しい場合があります。麻酔を使用して苦痛を軽減しながら検査できる施設も増えているため、不安な方は医療機関に相談してみましょう。
6. CT検査
レントゲンや超音波検査で原因がはっきりしない場合や、より詳細な状態確認が必要なときにはCT検査が行われます。膵炎や大動脈の異常、胆石・尿管結石の状況など、幅広い腹部のトラブルを正確に把握しやすくなります。
脇腹の痛みを感じたら
脇腹に激痛を感じた場合、考えられる原因は多岐にわたります。いずれの病気も、痛みの程度や持続時間、痛む部位などである程度は区別できるものの、自己判断だけで完結させてしまうのは危険です。
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泌尿器科系疾患(尿管結石、腎盂腎炎など):片側に強烈な痛みが出現しやすい。尿検査・画像検査で診断。
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胆石や胆嚢炎、膵炎など消化器系:脂っこい食事で痛みが引き金になることがある。背部痛や吐き気、発熱を伴うことも。
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整形外科的疾患(筋肉痛や肋骨のトラブル):動きと連動して痛むことが多いが、激痛であれば他の原因も否定できない。
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婦人科系の病気:下腹部から脇腹まで痛みが広がる場合は要注意。
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大動脈の異常:突然の激痛で、生命に関わる可能性がある。
いずれのケースも、「重篤な病気を見逃すこと」こそがもっとも危険です。特に、尿管結石による激痛や大動脈破裂による痛みは、本人の生活に大きな支障をきたすレベルになります。「ただの腹痛だ」と放置せず、少しでも不安があれば医療機関へ相談することをおすすめします。
まとめ
脇腹の激痛は、泌尿器科系(尿管結石など)、消化器系(胆石、膵炎など)、整形外科的要因、婦人科的な病気、さらには大動脈の異常など、様々な疾患が背景に存在する可能性があります。特に尿管結石や大動脈瘤破裂などは、非常に強い痛みを伴い、放置すれば重大なリスクを伴うことも少なくありません。
痛みが急激に始まり、耐えがたいほど強い場合は迷わず医療機関を受診し、必要な検査を受けましょう。超音波検査やCT検査、内視鏡検査などを組み合わせることで、原因が特定できるケースがほとんどです。痛みの原因をはっきりさせ、適切な治療に早めに取りかかることで、回復を早めたり合併症を防いだりすることができます。
また、痛みが出たときだけでなく、日頃から健康診断や人間ドックなどで定期的に腹部超音波検査を受けることも有効です。膵臓や胆嚢などは症状が出にくい病気もあるため、検査で早期に発見できれば重症化を防ぐことが期待できます。
もし、脇腹の痛みについて少しでも不安がある場合は、遠慮なく専門の医師に相談しましょう。検査を実施しないまま様子をみるより、少し大袈裟でも「万が一の重篤な疾患を見逃さない」ための行動が、あなたの健康と命を守ることにつながります。オンライン診療の活用や感染対策を行っているクリニックの受診など、あなたの生活環境や状況にあった受診方法を選びながら、早めの対処を心がけてください。
当院ではプライバシーの配慮を徹底しており、全ての患者様を番号でお呼びしております。
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文責:院長 磯野誠
所沢いそのクリニック 内科・泌尿器科・女性泌尿器科
埼玉県所沢市東所沢2-24-8
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※当院は、所沢市内および近隣の市町村(新座市、朝霞市、和光市、ふじみ野市、富士見市、三芳町、狭山市、入間市、日高市、飯能市、東京都東村山市、東京都清瀬市、東京都小平市、東京都国分寺市)からの患者様にも多くご利用いただいております。