食欲不振

食欲不振とは、「食べたい」という意欲が低下し、食事の量が普段よりも減ったり、まったく食べられなくなってしまう状態を指します。誰でも一時的に「今日はあまり食欲が湧かないな」と感じることはあるでしょう。しかし、こうした食欲の低下が数日続いたり、長期間にわたって改善しない場合は、何らかの身体的・精神的な要因が関係しているかもしれません。本記事では、食欲不振の原因やリスク、治療・対処法について分かりやすく解説します。

食欲不振について

一時的な食欲不振と長引く食欲不振の違い

一時的な食欲不振

  • ストレスや悲しい出来事 精神的ショックを受けたときや強いプレッシャーを感じているときは、気持ちが落ち込んで食欲が出にくくなることがあります。
  • 疲労や睡眠不足 仕事や育児、学業などで疲れがたまると、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが鈍くなる場合があります。
  • 一過性の身体的要因 軽い風邪や夏バテ、飲み過ぎなどによって一時的に胃がもたれたり、食欲が落ちることも珍しくありません。

上記のような要因で生じる食欲不振は、十分な休養やストレス解消などで体調が整えば比較的早く改善しやすい傾向にあります。

長引く食欲不振

一方、食欲不振が数日以上続いたり、食事量が大幅に減って体重が急激に落ちてしまう状態が続くときは、病気や深刻なストレス障害などが隠れている可能性があります。こうした場合には早めに医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。

食欲不振の違い

食欲不振の主な原因

1. 消化器系の病気

  • 食道・胃・腸の異常 胃や十二指腸の粘膜が傷ついたり炎症を起こすと、痛みや胸やけ、吐き気などがきっかけで食欲が落ちることがあります。血便や吐血がみられる場合は、粘膜の損傷が進んでいる可能性もあるため、早めに検査を受けましょう。
  • 肝臓の病気 肝炎や脂肪肝など肝機能に問題が起こると、消化機能にも影響が出やすくなり、食欲不振が続くことがあります。

2. その他の身体的要因

  • 感染症(肺炎・腎盂腎炎など) 発熱や全身倦怠感を伴う感染症では、高齢者や体力が低下している方を中心に、食欲が著しく落ちる場合があります。
  • ホルモンバランスの乱れ 甲状腺や副腎皮質ホルモンの分泌異常など、内分泌系の不調によって胃腸の動きが悪くなる場合があります。
  • 悪性腫瘍(がん) 特に消化器系のがんは、吐き気や体重減少、倦怠感とともに食欲低下が長く続きやすいのが特徴です。

3. 精神的な要因

  • うつ病や不安障害 強いストレスや精神的な落ち込みが続くと、自律神経が乱れて食欲を司る部分にも影響が及びます。
  • 過度なストレス 職場や家庭でのトラブル、人間関係の悩みなどが原因となり、食事を楽しめなくなるケースもあります。

4. 日常生活の習慣

  • 睡眠不足・過度の疲労 睡眠の質が悪かったり、生活リズムが乱れると、体が休まらず胃腸の働きも不安定になります。
  • 暴飲暴食 アルコールや高脂肪食の過剰摂取は、胃腸に負担をかけ、結果として食欲不振に陥りやすくなります。
  • 妊娠(つわり)・加齢 妊娠初期のつわりや加齢による消化機能の低下も、食欲が落ちる原因となることがあります。

食欲不振の症状とリスク

  • 体重減少 食事量が減り、必要な栄養を摂取できない状態が続くと、体重が急激に落ちることがあります。
  • 倦怠感や疲労感の増大 カロリー不足でエネルギーが足りなくなるため、日常生活でも疲れやすく感じるようになります。
  • 胃もたれ・胸やけ・吐き気 胃腸の不調が食欲不振の根本原因の場合、胸やけや吐き気などの消化器症状を伴うことが多いです。

これらの症状が悪化すると、さらに食事をとるのがつらくなり、悪循環に陥るリスクも高まります。

食欲不振の受診のタイミングと治療法

1. 受診すべきタイミング

  • 数日以上にわたり食事量が著しく減少している
  • 体重が急激に減ってきている
  • 胸やけや胃痛、吐き気、血便などがある
  • 強いストレスや精神的な不調を自覚している

上記の状態に当てはまる場合は、早めに医療機関を受診し、必要に応じて消化器内科や内分泌内科、精神科などの専門医の診察を受けるとよいでしょう。

2. 主な治療方法

  • 薬物療法 胃腸の炎症が原因であれば、炎症を抑える薬や胃酸分泌を調整する薬を用いた治療を行います。また、感染症であれば抗菌薬、ホルモンの異常が原因なら補充療法など、原因に合わせた薬物を選択します。
  • 内視鏡検査や手術 胃や腸に潰瘍やポリープなどが疑われる場合は、内視鏡検査で状態を確認し、必要があれば内視鏡治療や手術を行います。
  • 心理療法・カウンセリング ストレスや精神疾患が大きく関係しているケースでは、カウンセリングや薬物療法、家族のサポートが重要になります。

日常生活で気をつけたいポイント

  • 規則正しい生活リズム 毎日同じ時間に起床・就寝し、体内時計を整えることで自律神経のバランスを維持しましょう。
  • 適度な運動 ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かすと、胃腸の動きが改善しやすくなります。
  • 胃に優しい食事 消化の良い食品や、さっぱりしたものを少量ずつ摂ることで、無理なく栄養をとることができます。
  • ストレスを溜めない工夫 趣味や気分転換、十分な休息を確保して、精神的負担を軽減しましょう。
日常生活のポイント

まとめ

食欲不振は、日常的なストレスや疲労で一時的に起こることもあれば、消化器や内分泌系の病気、精神的な問題などが原因

この記事を書いた人
院長 磯野誠

 
略歴
・防衛医科大学校卒業 医師免許取得
・研修医(防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院)
・陸上自衛隊武山駐屯地医務室(神奈川県横須賀市)で総合診療に従事
・専修医(防衛医科大学校病院)で泌尿器科診療に従事
・陸上自衛隊善通寺駐屯地医務室(香川県善通寺市)で総合診療に従事
・防衛医科大学校医学研究科
・デュッセルドルフ大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)で泌尿器科がんの研究に従事
・陸上自衛隊第11旅団司令部(北海道札幌市)医務官
・恵佑会札幌病院泌尿器科、札幌医科大学病理学第一講座で泌尿器科がんの診療・研究に従事
・我孫子東邦病院泌尿器科で女性泌尿器科・前立腺肥大症・尿路結石の診療に従事
・所沢いそのクリニック開院

資格・所属学会
・医学博士
・日本泌尿器科学会 専門医・指導医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター(手術指導医;前立腺・膀胱、仙骨膣固定術)
・日本内視鏡外科学会 技術認定医
・日本透析医学会
・日本生殖医学会
・日本メンズヘルス医学会 テストステロン治療認定医
・ボトックス講習・実技セミナー(過活動膀胱・神経因性膀胱)修了
・がん診療に携わる医師に対する緩和ケア講習修了
・臨床研修指導医

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