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それ、帯状疱疹かも?放置はキケン!発症したら絶対やってはいけない5つのこと&最新予防法
こんにちは!院長の磯野誠です。
皆さんにぜひ知っておいてほしい情報をお届けします。
今回のテーマは、多くの人が一度は耳にしたことがある「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」。
「名前は知ってるけど、詳しくは…」
「ただのブツブツでしょ?」
もしそう思っていたら、要注意です!
実は、80歳までに3人に1人がかかると言われるほど身近な病気でありながら、甘く見ていると大変な後遺症に苦しむ可能性がある、恐ろしい病気なんです。
この記事では、帯状疱疹の本当の怖さと、発症してしまった時に絶対にやってはいけないこと、そして最新の予防法について、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
そもそも「帯状疱疹」ってどんな病気?
帯状疱疹の原因は、なんと多くの人が子供のころにかかる「水ぼうそう」のウイルス**。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは実は体内の神経節にひっそりと隠れ潜んでいます。そして、加齢やストレス、疲れなどで免疫力が低下したときに、ウイルスが再び目を覚まして大暴れ!これが帯状疱疹の正体です。
主な症状
✅ 体の右側か左側、どちらか一方にピリピリ、チクチクとした痛みが出始める
✅ その後、同じ場所に赤い発疹と水ぶくれが帯状に広がる
この病気の本当に怖いのは、発疹が治った後も続く**「合併症」と「後遺症」**です。
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目の合併症 😥
目の周りに発症すると、角膜にダメージが及び、視力低下や最悪の場合失明に至ることもあります。
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顔面神経麻痺 😨
耳の周りにできると、顔の半分が動かなくなる「顔面神経麻痺」を引き起こすことがあります。
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帯状疱疹後神経痛(PHN) ⚡
最も頻度が高く、多くの方を苦しめるのがこの後遺症です。皮膚の症状がきれいになっても、傷ついた神経が原因で**「焼けるような」「電気が走るような」激しい痛み**が何か月、時には何年も続いてしまうことがあります。データによると、発症3ヶ月後で約20%、6ヶ月後でも約10%の方に痛みが残ると言われています。
重症化すると、入院が必要になるケースも決して珍しくありません。
【医師からの切なる願い】帯状疱疹になったら"絶対NG"な5つの行動
これまで多くの重症患者さんを診てきた医師として、これだけは避けてほしい!という行動が5つあります。ご自身やご家族が発症した際に、ぜひ思い出してください。
1. 水ぶくれを自分で潰すのは絶対ダメ!
気になって潰したくなる気持ちは分かりますが、絶対にやめてください。ウイルスが飛び散るだけでなく、指や爪から細菌が入ってしまい、細菌感染という二次災害を引き起こす可能性があります。
(ただし、お風呂で優しく洗い流すのは清潔を保つために大切なのでOKです👍)
2. 痛いからって冷やすのは逆効果!
帯状疱疹の痛みは、打撲などとは違う「神経痛」です。冷やすと神経が刺激され、かえって痛みが強くなってしまうことがあります。むしろ、温かいお風呂に浸かるなど、体を温める方が痛みが和らぎます。(体力を消耗する長風呂は避けてくださいね)
3. 「あの人」にはうつしちゃうかも…?
帯状疱疹は、水ぼうそうにかかったことがある人にはうつりません。
しかし、水ぼうそうにかかったことがない人(特に赤ちゃんや子供、妊婦さん)には、「水ぼうそう」として感染させてしまう可能性があります。水ぶくれが乾いてかさぶたになるまでは、接触に注意しましょう。
4. 「気合いで治す」は通用しません!
「週末にゴルフの予定が…」なんて質問を受けることがありますが、気持ちは分かります。でも、帯状疱疹は体が「もう限界!休んで!」と出しているサインです。無理をすれば免疫力はさらに低下し、症状の悪化や後遺症のリスクを高めるだけ。まずは体を休めることに専念してください。
5. 「面倒くさい」が一番の敵!すぐに病院へ!
これが一番お伝えしたいことです。
「そのうち治るだろうと放っておいたら、激痛になって来た」という患者さんが本当に多いのです。
帯状疱疹の治療は、スピードが命。
ウイルスを抑える抗ウイルス薬は、発症してから3日以内に飲み始めると非常に効果的ですが、治療が遅れるほど効果は薄れてしまいます。
体の片側に痛みと赤い水ぶくれが出たら、「面倒くさい」と思わずに、今すぐ皮膚科を受診してください!
一番の対策は「かからないこと」!最新のワクチン事情
恐ろしい後遺症を防ぐ最善の方法は、言うまでもなく「帯状疱疹にかからないこと」です。
特に発症率がぐっと上がる50歳以上の方は、ワクチンによる予防が非常に重要になります。
現在、帯状疱疹ワクチンには2種類あります。
| 項目 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
| 接種回数 | 1回 | 2回 |
| 費用(目安) | 9,000円前後 | 1回 2万~2.5万円(総額4~5万円) |
| 予防効果 | 約50%(5年程度) | 約90%以上(9年以上) |
| 副反応 | 比較的少ない | 注射部位の痛み(80%)など、強く出ることがある |
| 接種制限 | 免疫力が低い方は接種不可 | 免疫力が低い方でも接種可能 |
💡ワクチンに関する最新情報&注意点
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不活化ワクチンの対象拡大:以前は50歳以上限定でしたが、最近は医師の判断で18歳以上から接種可能になりました。特に免疫が低下するリスクのある方や、心配な方は検討の価値ありです。(個人的には40代半ばから検討をおすすめします)
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費用について:予防接種のため、残念ながら保険は適用されません。ただし、お住まいの市町村によっては助成金制度があるので、ぜひ役所のホームページなどで確認してみてください。
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接種できないタイミング:当然ですが、帯状疱疹を発症している最中は接種できません。また、治った直後の方は免疫がついているため、すぐに接種する必要はありません。過去にかかってから5年〜10年以上経過している方が良い対象となります。
まとめ:自分と未来の生活を守るために
帯状疱疹は、誰もがかかる可能性のある病気です。
そして、一度かかると、つらい後遺症によって生活の質(QOL)が大きく下がってしまう可能性があります。
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もし発症してしまったら… とにかく早く皮膚科へ!
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まだかかっていないなら… ワクチンという選択肢を!
この記事が、あなた自身と、あなたの大切な家族の健康を守るきっかけになれば嬉しいです。
心配なことや分からないことがあれば、ぜひお近くのクリニックで相談してみてくださいね。