血尿(尿に血が混じる)

トイレでおしっこをしたときに血尿が出たら、びっくりしますよね。肉眼的血尿(目で見てわかるくらいの血尿)は特に注意が必要です。一度でも心当たりがある方(特に50歳以上の方)は泌尿器科への受診を強くおすすめします。

血尿について

血尿とは

血尿(けつにょう)とは、文字通り尿に血液が混じっている状態を指します。大きく分けると、肉眼で確認できる「肉眼的血尿」と、尿試験紙法や顕微鏡検査を行わないと分からない「顕微鏡的血尿(潜血)」の2種類があります。肉眼的血尿の場合は、ご自分で鏡を覗いたり、便器の水が赤や茶色に変色したことなどで気づくことが多いです。一方、顕微鏡的血尿は血液の混入量が非常にわずかで、健康診断や医療機関などで検査を受けることで初めて判明するケースが一般的です。

血尿がみられる場合、尿を作る腎臓から尿路(尿が排泄されるまでの通り道)にかけてのどこかで何らかの異常が生じている可能性があります。とくに、血尿が痛みを伴うか伴わないかで想定される病気が異なります。痛みを感じない血尿は、膀胱がんなどの腫瘍性疾患を含めた重篤な病気が隠れている場合があるため、軽視せず検査を受けることが大切です。

ただし、統計的には血尿症状の約40%は「特発性腎出血」に該当し、はっきりとした原因が分からないケースも決して少なくありません。尿路腫瘍、尿路結石、尿路感染症などが否定されても血尿が続く場合もあります。そのため、血尿が判明した際には早めに泌尿器科を受診し、必要な検査を受けることが望ましいです。

血尿の定義

血尿の種類:肉眼的血尿と顕微鏡的血尿

1. 肉眼的血尿

肉眼で尿の色の変化がはっきりと分かる状態です。便器の水やトイレの照明などにもよりますが、赤色やピンク色、茶色など、はっきりとした色味の変化として認識できることが多く、日常生活の中で自覚しやすい血尿といえます。痛みの有無や尿の色の濃淡など、細かな情報も診断の手がかりになることがあります。

2. 顕微鏡的血尿(潜血)

尿試験紙法や顕微鏡検査で血液が混じっていることが確認される状態を指します。肉眼では気付けない程度のごくわずかな血液量が混在しています。健康診断や会社の定期検診などで尿検査を行った結果、初めて血尿が指摘されるケースも少なくありません。症状がなく、かつ肉眼では気づかないため、発見が遅れやすい点には注意が必要です。

血尿の色から分かること

血尿が肉眼で確認できる場合、尿の色によっておおよそ出血している部位や原因疾患を推定できる場合があります。ただし、色だけで確定するのは危険です。必ず医師の診察・検査を受けるようにしましょう。

1. 赤茶色・黒っぽい尿

  • 腎臓からの出血が疑われます。血液が腎臓で混じった状態で排出されると、尿が身体の中を通過するうちに酸化や変性が進むため、赤茶色や黒っぽい色に変化すると考えられています。

2. オレンジ色の尿

  • 睡眠中や運動後などで脱水状態に近いとき、尿は濃縮されやすくなります。その結果、オレンジ色の尿が出ることがあります。まずはしっかり水分を補給してください。
  • 一方で、肝臓に問題がある場合にもオレンジ色の尿が出ることがありますので、頻繁に気になる場合は医療機関で検査を受けましょう。

3. ピンク色・赤色の尿

  • 血液が尿に混じってまだあまり時間が経過していない場合にみられます。膀胱や尿道など、腎臓よりも下部の尿路から出血している可能性があります。腎炎、尿管結石、膀胱炎などが考えられ、痛みの有無など他の症状と合わせて診断を行います。

4. 濃い赤色の尿

  • 膀胱や尿道に悪性腫瘍(がん)がある可能性を示唆します。膀胱がんや腎臓がん、腎盂・尿管の腫瘍などが早期段階で血尿のみを症状として表すこともあります。早期発見・早期治療が極めて重要ですので、すぐにでも泌尿器科を受診しましょう。
  • 悪性腫瘍以外にも、膀胱結石や尿路結石が原因で似たような色になることがあります。いずれにせよ医師の判断が欠かせません。
血尿の色

血尿の主な原因

血尿の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「良性疾患」と「悪性疾患」に分類されます。

良性疾患による血尿

慢性腎炎、腎盂腎炎、膀胱炎、細菌性膀胱炎、放射線性膀胱炎

腎臓や膀胱などの尿路に炎症が起きることで出血し、血尿を引き起こす場合があります。とくに膀胱炎は女性に多く、頻尿や排尿時痛といった症状をともなうケースが一般的です。

前立腺炎、前立腺肥大症

男性に多い疾患です。前立腺が炎症を起こしたり、肥大することで周囲の組織に影響を与え、血尿がみられることがあります。加齢とともに前立腺肥大症のリスクが高まり、排尿障害と合わせて血尿が見つかるケースも珍しくありません。

尿道カルンクル

女性の尿道口付近に生じる良性の隆起(ポリープ)で、血尿や血性のおりものが出ることがあります。

尿路結石

血尿の原因として多いのが尿路結石です。尿路結石は、腎臓から尿管、膀胱、尿道に至るまで、どこでも生じ得る結石の総称です。結石が形成される主な要因には以下のようなものがあります。

  • 食生活の乱れ(高カロリー・高脂肪食の摂取が多い)
  • 水分不足・運動不足
  • 代謝異常や内分泌疾患

結石が尿路のどこかに詰まると、その先に尿が流れにくくなるため、腎臓内の圧力が上昇して腎臓や尿管が刺激され、強い痛み(疝痛発作)を引き起こすことがあります。この痛みに加えて血尿が出現する場合は、尿路結石の可能性が非常に高いと言えます。血尿と腰や脇腹の激痛を同時に経験した場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

悪性疾患による血尿

腎細胞がん、腎盂・尿管の腫瘍、膀胱がん、前立腺がん

血尿の原因として最も注意が必要なのが悪性腫瘍です。なかでも膀胱がんや腎細胞がんは、血尿が初発症状となることが少なくありません。痛みがないまま肉眼的血尿が出現した場合は、悪性腫瘍を含む精密検査を早期に受けることをおすすめします。

血尿の検査方法

血尿の検査では、まず侵襲性の低い検査を行い、その結果によって追加の検査を実施するのが一般的です。当院では以下のような検査に対応しております。

1. 尿検査

尿試験紙法や顕微鏡検査を通じて、血液の混入の有無、白血球や細菌の有無、蛋白尿や糖尿などの有無も同時にチェックします。最も基本的かつ必須の検査といえます。

2. 尿細胞診検査

尿中に排出される細胞を採取し、顕微鏡で観察します。膀胱がんをはじめとした尿路系の悪性腫瘍を疑う際に行われることがあります。

3. 超音波検査(エコー検査)

腎臓や膀胱の状態をリアルタイムで確認できます。腎臓や膀胱に腫瘍や結石がないか、形態の異常がないかなどを確認します。体への負担も少なく、初期検査としても頻繁に行われる検査です。

4. 血液検査

腎機能や感染の有無を調べるうえで重要となります。腎機能が低下している場合は、造影剤を使った検査が難しいことがあり、その判断にも役立ちます。

5. CT検査(造影)

腎臓・尿管・膀胱などの形状をより詳細に確認するために用いられます。造影剤を使用して、血管や腫瘍の存在を正確に把握できるため、結石や腫瘍などの診断精度が高くなります。

6. 膀胱尿道ファイバー検査

内視鏡を使い、直接膀胱内や尿道を観察します。腫瘍や炎症の有無、出血部位などを直接確認できるため、膀胱がんや尿道病変を疑う場合などに実施されます。

血尿の検査

血尿が疑われたらまずはご相談ください

血尿は、「痛みがないから大丈夫」「たまに色が変わるだけだから様子を見よう」と思い込み、受診を先延ばしにしてしまう方が少なくありません。しかし、血尿の裏には膀胱がんや腎臓がんなどの悪性腫瘍が隠れている可能性もあります。特に痛みを伴わない場合ほど、思わぬ重大疾患が発見されるケースがあります。

また、尿路結石は強い痛みを伴う場合が多い一方で、石が小さいうちはほとんど症状が出ないまま血尿だけが続く場合もあります。結石が大きくなると治療も複雑になるため、早期発見が大切です。

当院での診療の流れ

1. 問診・視診

患者様の症状や生活習慣、痛みの有無、頻度などを詳しくお伺いします。過去に血尿を指摘された経験や基礎疾患の有無についてもお聞かせください。

2. 基本的な検査(尿検査・血液検査・超音波検査など)

まずは身体への負担が少ない検査を行い、尿中の赤血球や細菌、白血球の有無、腎臓や膀胱の状態を確認します。

3. 追加検査(CT検査・尿細胞診・膀胱ファイバー検査など)

初期検査で気になる所見があった場合や、より詳しい診断が必要な場合に追加で検査を行います。

4. 診断と治療方針のご説明

検査結果をもとに診断を行い、適切な治療方針をご提案します。治療が必要な場合は入院が必要かどうかなどについても詳しくご説明し、患者様と相談のうえで治療計画を決定します。

検査等にかかる費用について(3割負担の場合)

検査内容 費用
腹部超音波検査 1,590円
尿検査(尿沈渣を含む) 150円
尿細胞診 570円
CT検査(画像診断料含む) 4,050円
膀胱内視鏡検査 2,670円

※別途、診察料・判断料などがかかります。

この記事を書いた人
院長 磯野誠

 
略歴
・防衛医科大学校卒業 医師免許取得
・研修医(防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院)
・陸上自衛隊武山駐屯地医務室(神奈川県横須賀市)で総合診療に従事
・専修医(防衛医科大学校病院)で泌尿器科診療に従事
・陸上自衛隊善通寺駐屯地医務室(香川県善通寺市)で総合診療に従事
・防衛医科大学校医学研究科
・デュッセルドルフ大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)で泌尿器科がんの研究に従事
・陸上自衛隊第11旅団司令部(北海道札幌市)医務官
・恵佑会札幌病院泌尿器科、札幌医科大学病理学第一講座で泌尿器科がんの診療・研究に従事
・我孫子東邦病院泌尿器科で女性泌尿器科・前立腺肥大症・尿路結石の診療に従事
・所沢いそのクリニック開院

資格・所属学会
・医学博士
・日本泌尿器科学会 専門医・指導医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター(手術指導医;前立腺・膀胱、仙骨膣固定術)
・日本内視鏡外科学会 技術認定医
・日本透析医学会
・日本生殖医学会
・日本メンズヘルス医学会 テストステロン治療認定医
・ボトックス講習・実技セミナー(過活動膀胱・神経因性膀胱)修了
・がん診療に携わる医師に対する緩和ケア講習修了
・臨床研修指導医

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