
所沢いそのクリニック院長の磯野 誠です。
「トイレで血が出たけど、痛くないし止まったから大丈夫……」
そう思って様子を見ていませんか?
実はこの判断が、最も危険なのです。
血尿は「痛みがあるか・ないか」で、原因がまったく異なります。痛みのない血尿は、膀胱がんをはじめとする重大な疾患のサインである可能性があります。
この記事では、血尿の正しい見方・受診すべきタイミング・検査の流れまでわかりやすく解説します。
血尿とは?知っておきたい基礎知識

血尿とは、尿の中に血液が混じっている状態を指します。腎臓・尿管・膀胱・尿道のいずれかで出血が起きているときに現れるサインです。
血尿の2つの種類
| 種類 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 肉眼的血尿 | 目で見てわかるほど尿が赤く・ピンク色になる | 出血量が多い状態 |
| 顕微鏡的血尿 | 見た目は普通の尿だが、尿検査で血液が検出される | 「見た目が普通=安全」ではない |
健康診断の結果に「尿潜血陽性」と記載されていた場合、これが顕微鏡的血尿にあたります。
症状がなくても、精密検査が必要なサインです。放置しないようにしてください。
尿の色で出血箇所を推測できる
- 鮮やかな赤:出血量が比較的多い
- ピンク色:少量の出血
- 茶色・コーラ色:腎臓に近い場所からの出血が疑われる
受診の際は尿の色も医師に伝えると、診断の参考になります。
⚠️ 「1回だけ」「すぐ止まった」でも、必ず泌尿器科を受診してください。
がんによる血尿は出たり止まったりを繰り返す特性があり、「また止まった」の繰り返しで受診が遅れるケースが後を絶ちません。
【痛い血尿】の主な原因

痛みを伴う血尿は、感染症や結石によるものがほとんどです。
膀胱炎・尿路感染症
尿道から細菌が侵入し、膀胱の内壁に炎症が起きることで血尿が現れます。次のような症状が一緒に出るのが特徴です。
- 排尿のたびにじりじりとした痛み・灼熱感
- 頻繁にトイレに行きたくなる(頻尿)
- 出し切った感じがしない(残尿感)
女性は尿道が短いため細菌が入りやすく、繰り返しやすい傾向があります。「いつもの膀胱炎だろう」と自己判断せず、きちんと受診して抗菌薬で治療することが大切です。
💡 「治ったと思ったらすぐ再発する」場合は要注意
薬が途中で終わって完全に除菌できていない・再感染を繰り返している・膀胱炎以外の原因が潜んでいる可能性があります。
繰り返す場合は必ず再受診を。
尿管結石
腎臓や尿管に石が形成され、それが動いたり詰まったりすることで出血と激しい痛みが起きます。
- 脇腹・背中への突然の波状の激痛が特徴
- 「今まで経験したことのない痛み」と表現する患者さんも多く、救急搬送されるケースもあります
院長自身も40歳のときに経験しており、「居ても立っても居られない痛み」でした。
腰・お腹の痛みとともに血尿が出た場合は、尿管結石を疑ってください。夜間でも救急外来を受診してよい状態です。
尿道炎(男性)
クラミジアや淋菌などを原因とする性感染症です。
排尿時の痛みや分泌物と一緒に血尿が出ることがあります。
受診をためらわれる方もいますが、泌尿器科で適切に治療できます。
【痛くない血尿】の主な原因|より注意が必要

痛みのない血尿は、重大な疾患が隠れているリスクが高い状態です。
「痛くないから大丈夫」という思い込みが、最も危険な判断になりえます。
膀胱がん
痛みのない血尿が最初のサインとなることが最も多い疾患です。
- 「便器が真っ赤になったのに、まったく痛くなかった」という症状が典型的
- 日本では年間2万人以上が診断される身近ながん
- 男性・60〜70代に多いが、40代での発症も珍しくない
- 喫煙者は非喫煙者の約2〜4倍のリスク(過去に喫煙していた方も注意が必要)
💡 早期発見なら膀胱を温存したまま治療できます
膀胱がんは早期であれば内視鏡手術で対応できることが多く、選択肢が大きく広がります。
「見つかるのが怖い」という気持ちはよく理解できますが、早期発見こそが最善の対策です。
腎盂がん・尿管がん
尿路の上流部(腎盂・尿管)に発生するがんも、痛みのない血尿が主な症状です。
CTなどの画像検査で診断します。
腎臓がん
早期は無症状のことが多いですが、血尿で気づくケースもあります。
早期発見できれば腹腔鏡手術で対応できます。
前立腺がん(進行例)
進行した前立腺がんが膀胱・尿道に浸潤すると、血尿が現れることがあります。
50歳を超えたら定期的なPSA検査(血液検査で簡単に調べられる)をお勧めします。
📋 まとめ:血尿の大まかな見分け方
| 痛みの有無 | 疑われる主な原因 |
|---|---|
| 痛みあり | 膀胱炎などの尿路感染症、尿管結石、尿道炎 |
| 痛みなし | 膀胱がん、腎盂がん、尿管がん、腎臓がん、前立腺がん(進行例) |
※ あくまで目安です。どちらであっても自己判断せず、必ず泌尿器科を受診してください。
受診すべきタイミングの目安

今すぐ救急へ(緊急サイン)
- 血尿と一緒に脇腹・背中への激しい痛みがある
- 高熱・悪寒・寒気を伴う(腎盂腎炎の可能性:腎臓まで感染が広がった状態)
- 尿が全く出なくなった
翌日〜数日以内に泌尿器科へ
- 痛みも発熱もなく血尿だけが出た(=むしろ重大疾患の可能性)
- 血尿が一度止まったが、また出た
- 健康診断で「尿潜血陽性」と指摘されている
⚠️ 「止まったから様子を見よう」は絶対に避けてください。
痛みのない血尿こそ、がんの可能性が高いサインです。1回でも血尿が出たら、必ず泌尿器科を受診することが鉄則です。
「血尿が出た」と受付で伝えると、優先的に対応してもらえることがあります。お気軽にご相談ください。
泌尿器科で受ける検査と費用

主な検査の内容
- 尿検査・尿細胞診:血液・細菌・がん細胞の有無を確認
- 超音波検査(エコー):お腹の上から器具を当てるだけの痛みのない検査。腎臓・膀胱・前立腺をリアルタイムで確認
- CT検査:尿路全体を立体的に把握。エコーでは見えにくい腫瘍・結石も発見可能
- 膀胱鏡:細い内視鏡を尿道から挿入し、膀胱内を直接確認する検査。膀胱がんの診断に不可欠。局所麻酔のゼリーを使用するため、所要時間は約5分で、多くの方は「想像より楽だった」とおっしゃいます。
費用の目安(保険適用)
| 検査内容 | 3割負担の目安 |
|---|---|
| 初診料+尿検査+エコー | 3,000〜5,000円程度 |
| CTや膀胱鏡が加わった場合 | 10,000円前後 |
すべての検査は健康保険の範囲内で対応できます。
検査は一度に全部行うわけではなく、症状や状況に応じて段階的に進めていきます。費用が心配な方も、まずはお気軽にご相談ください。
こんな血尿にも注意|特殊なパターン

- 性行為後だけ血尿が出る:膀胱炎・尿道炎のほか、物理的刺激が原因のことも。繰り返す場合は受診を
- 朝だけ血尿が出る:就寝中の尿の濃縮で尿路の微細な炎症・出血が起きやすくなる場合あり
- 尿の色が茶色・コーラ色になる:腎臓の炎症(IgA腎症など)のサインの可能性。腎臓内科への受診が必要になることも
⚠️ どれも「たまにしか出ない」「1回きり」だからといって放置するのは禁物です。頻度や量にかかわらず、血尿は体からの大切なSOSサインです。
よくある質問(FAQ)

自己判断せず、速やかに泌尿器科を受診してください。
「尿潜血陽性」は目に見えない顕微鏡的血尿を意味します。症状がなくても重大な病気が隠れている場合があるため、精密検査を受けてください。
まずは泌尿器科の受診をお勧めします。近くに泌尿器科がない場合は内科や総合病院で相談し、専門科に紹介してもらうことができます。
まとめ

📌 この記事の重要ポイント
- 「痛い血尿」は感染症・尿管結石が多い。「痛くない血尿」は膀胱がんなど重大疾患の可能性が高い
- 血尿はたった1回でも、量が少なくても、体からの大切なSOSサイン
- 「止まったから大丈夫」は最も危険な判断。必ず泌尿器科を受診する
- 検査(尿検査・エコー・膀胱鏡)はすべて保険適用で受けられる
- 早期発見できれば、治療の選択肢は大きく広がる
「そういえば最近尿の色がおかしかった」
「健康診断で尿潜血陽性と言われたまま放置している」
という方は、ぜひ一度ご受診ください。

