こんにちは。院長の磯野 誠です。
健康診断の結果が届き、「尿潜血あり」という文字を見てドキッとしたことはありませんか? 「特に痛みもないし、尿の色も普通なのに、なぜ……?」と不安に思う方は非常に多いです。
実は、尿潜血は健診で非常によく見つかる所見の一つ。多くの場合、すぐに慌てる必要はありません。しかし、中には「早めに受診すべきサイン」が隠れていることもあります。
今回は、「放置していい尿潜血」と「注意が必要な尿潜血」の見分け方について、わかりやすく解説します。
1. 尿潜血って、そもそも何?
「潜血」という言葉から、目に見えて赤い尿(血尿)をイメージするかもしれませんが、実際は異なります。
尿潜血とは、「目には見えないほど微量の血液成分(赤血球)」を、検査用の試験紙が敏感にキャッチした状態を指します。コップ一杯の尿に、針の先ほどの血が混じっただけでも反応するため、見た目はいつもの尿と全く変わりません。
「異常」と言われたのに、自覚症状がないのはなぜ?
痛みも違和感もなく、体調も万全なのに「異常」と判定されるのは、現代の検査が非常に優秀で、「自分では気づけないレベルの変化」を拾い上げているからです。ですから、自覚症状がないこと自体は、ごく自然な反応なのです。
2. なぜ反応が出るの?知っておきたい「検査の性質」
健診の尿検査は、赤血球に含まれるヘモグロビンなどに化学反応させて調べています。そのため、病気以外でも以下のようなケースで「陽性」が出ることがあります。
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激しい運動の直後
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水分不足(尿が濃くなっている)
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発熱や体調不良
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女性の場合、月経の影響
特に女性は体の構造上、微量の血が混じりやすく、精密検査をしても「異常なし」となるケースが非常に多いのが特徴です。
「±(プラスマイナス)」という判定について
結果に「±」と書かれている場合、これも日常生活の些細な変化でよく起こります。一回きりの指摘で、他に症状がなければ、過度に心配しすぎる必要はありません。
3. 「放置していい変化」と「受診すべきサイン」
尿潜血の原因は、大きく分けると「腎臓」か「尿路」の2つです。
以下のチェックポイントを参考に、ご自身の健康診断の結果を見直してみてください。
A. 受診を推奨する「注意が必要なケース」
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尿潜血 + タンパク尿: 腎炎や慢性腎臓病など、腎臓そのもののトラブルが隠れている可能性があります。
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尿潜血 + 痛みや違和感: 排尿時の痛み、残尿感がある場合は、結石や膀胱炎などの尿路の病気が疑われます。
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急激な数値の変化: 去年までマイナスだったのが、急に高い数値になった場合は注意が必要です。
B. 比較的安心な「様子見でよいケース」
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毎年ずっと同じ数値(例:ずっと+1): 数値が安定しているのは、病気が進行していない証拠でもあります。
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自覚症状が全くない(かつ、タンパク尿もない): 一時的な体調の影響である可能性が高いです。
4. 特に見逃してはいけない「膀胱がん」のサイン
頻度は決して高くありませんが、医師が最も警戒するのが「膀胱がん」です。 膀胱がんの最大の特徴は、「出血はあるのに、痛みがない」こと。
特に「50歳以上の男性」や「喫煙歴がある方」で、何度も尿潜血を指摘される場合は、一度しっかりとした検査(細胞診や超音波検査など)を受けておく価値があります。
結論:健診結果は「点」ではなく「線」で見よう
尿潜血の指摘を受けたときに大切なのは、一回きりの結果に一喜一憂することではありません。「去年と比べてどうか?」「他の項目(タンパク尿など)と重なっていないか?」という変化(流れ)を見ることです。
健診結果はあなたを怖がらせるための通知ではなく、体が発している小さなヒントの集まりです。
迷ったら何科に行けばいい?
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タンパク尿も出ている場合: 「腎臓内科」へ
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痛みや違和感、残尿感がある場合: 「泌尿器科」へ
もし「どっちに行けばいいかわからない」と迷う場合は、まずは通いやすい方で構いません。私たち医師が、お話を伺いながら最適な診療科へお繋ぎします。
「迷っている」ということは、それが受診すべき一つのサインです。 不安な気持ちをそのままにせず、ぜひお気軽に相談してくださいね。

